東戸塚のうるおい鍼灸治療院です。
ようやく夏の暑さがひと息つく頃、なぜか咳が止まらなくなるという症状を訴える方が増えてきます。意外と思われるかもしれませんが、夏の間に身体を気づかぬうちに冷やしてしまっていることが原因と考えられます。季節の変化に身体や心の変化が追い付かないですね・・・
■咳の改善にツボ「定喘」のセルフメンテナンス
最近も「咳が出て止まらなくなる時がある。夜中に咳が出て起きてしまう」と、当院を訪れた患者さんがいらっしゃいました。経絡治療の後、背中首の付け根にある”定喘(ていぜん)”という咳や喘息に効果のあるツボへ、お灸を2壮行いました。いつも熱く感じる台座灸が全く熱くないとのことで、2回行ってやっと温かさを感じられたとのこと。なかなか重症ですね・・・。
数日後、「咳が治まってきました!しばらく続けてみたいです」ということで、セルフケアとして台座灸をお分けいたしました。その際に撮影してお渡しした画像の一部がこちらです。
自分では見えない背中へのお灸なので、家族の方に画像の位置に台座灸を貼って火をつけてもらうということになりました。(やけどや火事に気を付けて!)
定期的なメンテナンスは当院で。その間の簡単なセルフケアをご自宅で。“次の通院まで間が空いてしまいそう・・・”という方にはお勧めです。
※お灸の話にも少し書かせていただいております→こちら
■経絡治療と対処療法としての”奇穴(きけつ)”活用について
当院では、治療の前に患者様の身体の状況を”望聞問切”と呼ばれる4つの方法にて確認し、身体の状態を決定(証)し、経絡の流れを整える治療(本治法)を行い、後半では不具合のある個所(痛いところや具体的な症状)に有効なツボへの置き鍼やお灸などを行う流れが多いです
※患者さんの症状によって異なります
この不具合個所へ有効な“ツボ”を探して、選んで、施術していくわけですが、その中には「奇穴(きけつ)」と呼ばれるものがあります。
経絡治療で使用する、ツボは「経穴(けいけつ)」と呼ばれ、身体中を巡る経絡上に位置しています。経絡治療ではこの「経穴」を刺激する治療が中心です。
一方、「奇穴」は古代中国から現代まで、何千年にもわたり培われた鍼灸の治療により、「ある疾患に関して特別な効果があるようだ」と有効性が経験的に長い間引き継がれ、経絡上に位置しないものです。
冒頭にあげた、咳に効果のある「定喘(ていぜん)」も”奇穴”の代表的な1つです。
一方で、ピンポイントで症状が出ている咳や部分的な痛みも、直接的にその箇所が悪いのではなく、全身の経絡の流れが乱れていることで症状が出てしまっていると考えています。
経絡治療を何度か行い、徐々に体調が改善する・・・ということが多い鍼灸治療ですが、「今ある悩みを少しでも軽くしたい!」と思われるのは当然です。対処療法としての奇穴の活用はとても有効と思っています。患者様の症状を改善できる奇穴を選ぶことは鍼灸師としても重要な役割と考えています。
私は脈診で治療中に“流れが整ってきたな“と思えるのですが、患者様ご自身に「身体の不調な部分が楽になった」の実感が持ってもらえるような治療を行いたいと、日々試行錯誤しております。
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